冠水道路を車で走るとどうなる、その影響と安全な対処法
2018年の西日本豪雨や2019年の台風19号や21号では、東日本を中心に大きな 風水害もたらしたことはまだ記憶に新しいところです。
中でも、主要な河川の氾濫の結果、車で避難又は移動中に冠水道路に出くわし水没したり 車ごと流されたりして「車中死」する災害が相次いだのは残念なことです。
災害時の映像を見ていると、冠水道路を車が走っている場合がありますが、 冠水した道路を車で走る場合にはどんな危険が潜んでいるのでしょうか。
予測される危険を知っておかないと、車はやがて立ち往生してしまい、さらに 周りの水位が増すことによってドアが開かなくなり車からの脱出が困難になる可能性もあります。
この記事では、車は冠水した道路ではどの位の水深まで走れるのか、限界を超えて 走ると車はどんな挙動を示すのか、車が水に浸かった場合の安全な対処法などを 説明します。
●車は何センチの水深まで走れる?

河川の氾濫による水害が起こりそうなときは、冠水しそうな道路を走ることは 避けたいものですが、生活している以上は止む無く走行する必要もあるかもしれません。
道路を車で走っていたら、冠水した道路に出てしまったとか、走行中道路が冠水し始めた というときは、あなたはどうしますか?
車の外は大雨、車の外は長靴でもないと足が濡れるとなると、それらの理由だけで そのまま通り抜けて目的地まで行こうと思うものです。
車はどの程度の水深まで走れるのでしょうか?
一般的に車が冠水した道路を走行する場合、ドアの下端までの冠水なら大丈夫と されていますが、保証できる範囲ではありません。
車のエンジンは、ガソリンなどの燃料を燃焼させてピストン運動を起こして、それを 回転運動に変えています。
燃料を燃焼させるには空気が必要で吸気口から取り入れて、燃焼後は排気ガスを 排気口(マフラー)から排出します。
したがって、吸気口や排気口から水が入るとエンジンが止まってしまいます。
普通車では排気口は低い位置についているのが普通で、地面から15~20cmの位置 にあるのが一般的です。
排気口はエンジンが動いているときは、排気ガスが出続けているので水が排気口 からは浸入しないのですが、アイドリングストップ機構が付いた車が信号などでできなくなる可能性があります。
一方、吸気口はエンジンの上部にあるのでかなり水深がなければ入らない高さですが、 冠水道路に進入するときは水しぶきが上がるので、この水が吸気口に入ってしまうと エンジンは止まってしまいます。
具体的な水深の数値が知りたいという方もいらっしゃるかもしれません。
JAF(日本自動車連盟)では、千葉県津波避難計画策定指針よりの引用として 次のような数値をホームページに掲載しています。
浸水深0~10cm:走行に関し、問題はない。
浸水深10~30cm:ブレーキ性能が低下し、安全な場所へ車を移動させる必要がある。
浸水深30~50cm:エンジンが停止し、車から退出をはからなければならない。
浸水深50cm~:車が浮き、また、パワーウィンドウが作動せず、車の中に閉じ込め られてしまい、車とともに流され非常に危険な状態となる。
●限界を超えた水深を走ると車の挙動はどうなるの?
冠水道路に潜む危険
冠水した道路は、見ただけでは水深が分かりませんし、いろいろな障害物が流れ込んで いるなどの危険が潜んでいます。
<側溝>
側溝がある道路では、冠水すると側溝があるのかが見えなくなるため脱輪のおそれが あります。
<マンホール>
大雨になると大量の水が下水道に流れるため、水圧でマンホールのふたが外れてしまうことがあります。
冠水道路ではふたが外れているのが見えませんので、この穴に車輪がはまると車は動け なくなってしまいます。
<アンダーパス>

アンダーパスとは、立体交差で掘り下げ式の下になっている道路です。
小規模なものは、鉄道や道路の下を通る地下道などもあります。
アンダーパスは周りより低くなっているため、大雨が降り排水能力を超えると 水が溜まり道路が冠水します。
アンダーパスにどの位の水が溜まっているのかは、見ただけでは分かりません。
たいしたことではないだろうと判断して、通ろうとすると非常に危険です。
30cm位の水位まで進入するとエンジンが止まってしまいますし、50cm位になるとドアの開閉が困難になります。
水深によって車の挙動はどうなる?
前節でも説明したように、浸水深10~30cmではブレーキ性能が低下し、安全な 走行が難しくなります。
でも、河川の氾濫によって浸水深がどんどん深くなったり、アンダーパスを進むに つれてドンドン深くなった場合、車はどんな挙動をするのでしょうか?
この場合はいずれエンジンが停止してしまうので、長くは走れません。
エンジンが停止する原因は、エンジン内部へ排気口や吸気口からの水の侵入やエンジンの電気系統からの漏電によります。
水深がドア上10~20cmになると車は浮き出して、さらに深くなるとエンジンのある前部は重いため前のめりになって浮くこともあります。
水深がドア半分位になると、水圧のためドアの開閉が困難になり、パワーウィンドウの車では電気系統の故障で窓が開けられなる可能性が大です。
こんな場合は、側面の窓ガラスを専用の工具を使って割り、至急車から脱出する必要があります。
●車が停止すると命が危ない!安全な対処法
車が停止してドア半分位まで水に浸ってしまうと、車から脱出しないと命が 危なくなります。
水量がある場合は流されますし、水深が深ければ沈んでしまいます。
ドアから脱出しようとしてドアを開けようとしても、車の内部に水が入ってきていない 状態では、水圧により開けることができません。
そんなときは、パワーウィンドウがまだ動く状態であれば、窓を開けて脱出します。
パワーウィンドウが動かない状態になっている場合は、脱出用ハンマーなどで側面 の窓ガラスを割って脱出します。
前面のガラスは、中間にフィルムがはさみ込まれた合わせガラスになって いるので、ヒビ割れができてもなかなか破れません。
もし、脱出用ハンマーがない場合は、車の中に浸水するのを待ち車内外の水面の高さが 同じになるまであせらず待ちます。
ドアが開かないのは車内外の水圧差によるものなので、その差がなくなるとドアを開くことができます。
水が車の中に入ってくることは、より深く沈む可能性もあるので、浸水を待つのはかなり怖い状況です。
こうならないためには、車の緊急脱出用ハンマーを購入し、緊急時に手の届くところに置いておくことをおすすめします。
●冠水道路に出くわしたときの鉄則
豪雨のときなど冠水道路に出くわしたときの鉄則をまとめる次のようになります。
冠水した道路には入らない。
冠水道路を走り抜けられるかは、保証できません。
冠水した道路へは侵入しないで、迂回しましょう。
走行中に冠水した場合は、ドアが開くうちに車から脱出
走行中に河川の氾濫などで道路が冠水してきた場合は、早いスピードで増水して ドアの下端を超える水位になってくるとドアが開かなくなり、車から脱出できなくなります。
車に閉じ込められて命を落とさないために、ドアが開くうちに車から脱出しましょう。
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